手話を始めてから、見る世界が変わった

手話の勉強を始めてから、今まであまり気に留めていなかったことが、少しずつ気になるようになりました。

テレビの手話通訳、駅や病院の案内表示、街で見かける耳マーク、人の表情や手の動き。以前ならそのまま通り過ぎていたものでも、今は「これはどう伝わっているんだろう」「聞こえない人だったらどうするんだろう」と考えることが増えました。

手話を覚えたこと以上に、周りを見る視点が少し変わったことが、自分の中では大きな変化かもしれません。

手話を始めてからテレビの手話通訳や耳マーク、案内表示、人の表情などが気になるようになった様子
手話を学び始めてから、以前は気にしていなかったものが少しずつ目に入るようになりました。画像をタップすると拡大できます(別タブ)。

テレビの手話通訳を必ず見るようになった

以前は、テレビに手話通訳が出ていても、何を表現しているのか全く分かりませんでした。今は、全部ではないものの、3分の1くらいは内容を理解できるようになってきたと感じています。

それぞれの単語は見えるようになってきましたが、文章全体の意味をその場で理解するのは、まだ難しいです。分からない表現が出てきたときは、その場で調べて勉強することもあります。

最近は、テレビに手話通訳が出ると、自然と手を止めて見るようになりました。知っている単語が出てきたり、内容が分かったりすると、それだけですごくうれしいです。

さらに、字幕が出ているときは、「自分だったら、この文章をどう手話で表すだろう?」と先に考えてから、実際の手話通訳を見ることもあります。一瞬で答え合わせをするような感覚で、これも最近のちょっとした日課になっています。

駅や病院では「文字情報」が気になる

駅や病院では、以前よりも掲示板や文字表示を意識するようになりました。電車の遅延やホーム変更、病院の呼び出しなどは、音声だけでは分かりにくい場面もあります。

そういう場所に行くと、「文字でも情報が出ているかな」と自然と確認するようになりました。手話を学び始めてから、街の案内表示を見る目も少し変わった気がします。

以前なら「案内がある」としか思わなかったものを、今は「この情報は、聞こえない人にも伝わるだろうか」という視点で見ることが増えました。

首から下げている「耳マーク」が目に入るようになった

街で、緑色の耳のようなマークを首から下げている方を見かけたことがあります。これは「耳マーク」と呼ばれ、聞こえない・聞こえにくいことを周囲に伝えたり、配慮を求めたりするときに使われるマークです。

聞こえない・聞こえにくいことや配慮を表す緑色の耳マーク
耳マーク

手話を勉強する前だったら、見かけても意味を知らないまま通り過ぎていたかもしれません。今では、こうしたマークが自然と目に入るようになりました。

そして、「もし困っている様子だったら、自分にできることはあるかな」と考えることもあります。何か特別なことができるわけではありませんが、相手の表情を見たり、状況を確認したりする意識は以前より変わったと思います。

人の表情や手の動きを見るようになった

街や電車の中でも、人の表情や手の動きを以前より見るようになりました。たまに手話で会話をしている人たちを見かけると、「どんなことを話しているんだろう」と少し興味が湧きます。

自分には普段、手話を使って会話する環境がほとんどないので、実際に手話で自然に会話している姿を見ると、つい目がいってしまいます。

ただし、たまに「手話かな?」と思って見ていたら、TikTokのダンスの練習だった、ということもあります。そこは少し気をつけないといけません。

「耳の日」や「手話の日」を知るようになった

手話を始めてから、今まで知らなかった記念日やイベントにも気づくようになりました。

たとえば、3月3日の「耳の日」。そして、9月23日の「手話の日」。以前の自分なら、こうした日があること自体、知らなかったと思います。

9月23日の手話の日と3月3日の耳の日を紹介するイラスト
手話を学び始めてから、「手話の日」や「耳の日」といった記念日にも気づくようになりました。画像をタップすると拡大できます(別タブ)。

ほかにも、手話に関するイベントや、手話甲子園のような取り組みがあることも知りました。まだイベントには参加できていませんが、いつかボランティアなど何らかの形で関われたらうれしいです。

音だけではなく、「見える情報」にも目がいくようになった

手話を学び始めてから、音声だけではなく、文字や画面表示、筆談などの「見える情報」も意識するようになりました。

駅の案内表示、病院の受付番号、スマホの文字起こし、字幕、筆談。音声だけでは伝わりにくい場面でも、文字や視覚的な情報があることで分かりやすくなることがあります。

駅の文字案内、病院の受付番号、スマホの文字起こし、筆談など視覚的な情報保障の例
音声だけではなく、文字や画面表示、筆談など、見える情報があることで伝わりやすくなる場面があります。画像をタップすると拡大できます(別タブ)。

以前は気にしていなかったことですが、今は「音声以外にも伝える方法があるか」ということを自然と考えるようになりました。

手話を覚えるだけではなく、見えるものが変わった

手話を勉強し始めてから変わったのは、手話の単語が増えたことだけではありません。テレビ、駅、病院、街の案内、人の表情。今まで何となく見ていたものを、少し違った視点で見るようになりました。

これからも手話を勉強しながら、自分でも少しずつ発信していきたいです。そしていつか、手話を使いながら、誰かの役に立てたらうれしいと思っています。

手話を覚えること以上に、今まで気づかなかったものに気づくようになった。手話を始めてから、少しだけ見る世界が変わった気がします。