対策講座①|耳のしくみと音が聞こえる流れ【全国手話検定2級】

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この対策講座では、全国手話検定2級の筆記試験に向けて、過去問やテキストを参考に、出題されやすい内容をテーマごとに復習していきます。対策講座①では、耳のしくみと音が聞こえる流れを取り上げます。

耳の名前だけを覚えるより、「どこにあり、何をしているか」をつなげると整理しやすくなります。図で位置を確認し、音の伝わる流れと各部位の役割を学びましょう。

この講座で覚えること

  • 耳の主な部位の名前と位置
  • 音が脳へ伝わる順番
  • 耳管じかんと半規管はんきかん、耳小骨じしょうこつと蝸牛かぎゅうの役割の違い
  • 難聴の種類と、聴力検査の数値・グラフの読み方

まずは図で全体を見よう

耳の構造。①耳介、②外耳道、③鼓膜、④耳小骨、⑤耳管、⑥前庭・半規管、⑦蝸牛、⑧聴神経
図の番号と、下の部位の説明を見比べてみましょう。画像をタップすると拡大できます(別タブ)。

耳は大きく外耳がいじ・中耳ちゅうじ・内耳ないじに分かれます。外耳がいじで音を集め、中耳ちゅうじで振動を伝え、内耳ないじの蝸牛で電気信号に変えます。その信号が聴神経ちょうしんけいを通って脳へ伝わります。

  • 外耳:耳介じかい・外耳道がいじどう
  • 中耳:耳小骨があり、耳管で鼻の奥とつながる
  • 内耳:蝸牛・前庭・半規管ぜんてい・はんきかん

鼓膜こまくは外耳道の奥にあり、外耳と中耳の境界に位置します。 教材によって分類の扱いが異なるため、「鼓膜こまくは外耳・中耳のどちらか」だけで覚えるより、位置と役割を押さえましょう。

8つの部位と役割

1耳介じかい
音を集め、外耳道へ導きます。
2外耳道がいじどう
耳介から鼓膜まで、音が通る道です。
3鼓膜こまく
音を受けて振動する薄い膜です。
4耳小骨じしょうこつ
3つの小さな骨。鼓膜の振動を内耳へ伝えます。
5耳管じかん
中耳と鼻の奥をつなぎ、鼓膜の内外の気圧を調整します。
6前庭・半規管ぜんてい・はんきかん
平衡感覚に関わります。半規管は体の回転を感知します。
7蝸牛かぎゅう
中の有毛細胞が振動を電気信号に変えます。
8聴神経ちょうしんけい
聞こえの電気信号を脳へ伝えます。

音が聞こえるまでの順番

  1. 耳介
  2. 外耳道
  3. 鼓膜
  4. 耳小骨
  5. 蝸牛
  6. 聴神経
  7. 脳

音 → 振動 → 電気信号という変化に注目しましょう。

外耳道を通った音で鼓膜が振動し、その振動を耳小骨が内耳へ伝えます。蝸牛の中の有毛細胞が振動を電気信号に変え、聴神経が脳へ届けます。

図には耳管や前庭・半規管もありますが、上の「音を伝える順番」には入れません。それぞれ、気圧の調整や平衡感覚に関わる部位です。

耳のしくみを理解する

図と音の流れを見た後で、各部位の説明を読み直したい方には、筆記試験対策テキストも役立ちます。

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似た名前を整理しよう

耳管と半規管

耳管は気圧の調整、半規管は体の回転の感知。 「管」という字は同じでも、役割が違います。前庭も半規管とともに平衡感覚に関わります。

耳小骨と蝸牛

耳小骨は振動を伝え、蝸牛は電気信号に変える。 「電気信号に変えるのはどこか」と聞かれたら、蝸牛を思い出しましょう。

蝸牛と聴神経

蝸牛で生じた電気信号を、聴神経が脳へ伝えます。「変える」と「伝える」を区別すると覚えやすくなります。

聞こえにくさと聴力検査

難聴の種類は、原因となる場所で整理

  • 伝音難聴(でんおんなんちょう):外耳・中耳に原因があり、音の振動が伝わりにくい状態。
  • 感音難聴(かんおんなんちょう):内耳や聴神経など、音を感じ取って脳へ伝える側に原因がある状態。
  • 混合性難聴(こんごうせいなんちょう):伝音難聴と感音難聴の両方がある状態。

上の耳の図に戻り、外耳・中耳は伝音、内耳・聴神経などは感音と結び付けましょう。難聴の種類と、聞こえにくさの程度は別の分類です。

参考:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「難聴について」

音の高さと聴力レベル

周波数(しゅうはすう)は、1秒間に振動する回数で、単位はHz(ヘルツ)です。数値が大きいほど高い音になります。音の大きさ・高さ・音色は、それぞれ違う性質です。

聴力検査では、音が聞こえ始める最も小さいレベルを調べます。この境目を閾値(いきち)といい、聴力レベルの単位にはdB HL(デシベル・エイチエル)を用います。数値が大きいほど、聞こえるために大きな音が必要です。

たとえば同じ周波数で30 dB HLと60 dB HLを比べると、60 dB HLの方が大きな音を必要とします。0 dB HLは基準となる聴力レベルで、「音が全くない」という意味ではありません。

純音聴力検査とオージオグラム

純音聴力検査(じゅんおんちょうりょくけんさ)では、いろいろな高さの単純な音を聞き、聞こえたらボタンなどで知らせます。

防音室でヘッドホンを着けた人が、音が聞こえたらボタンで知らせる純音聴力検査のイメージ
ヘッドホンで音を聞き、聞こえたらボタンで知らせる気導検査の場面。画像をタップすると拡大できます(別タブ)。
  • 気導(きどう)検査:ヘッドホンなどから音を伝えて調べる。
  • 骨導(こつどう)検査:頭の骨に振動を与え、内耳へ伝えて調べる。

検査結果を表したグラフがオージオグラムです。横軸は周波数で、右へ行くほど高い音。縦軸は聴力レベルで、下へ行くほど数値が大きくなります。通常の気導の記号は、右耳が○、左耳が×です。

右耳の気導聴力を示す練習用オージオグラム。500 Hzは30 dB HL、1000 Hzは40 dB HL、2000 Hzは60 dB HL、4000 Hzは70 dB HL
読み取り練習用に作った架空の例です。実際の検査結果や診断を示すものではありません。画像をタップすると拡大できます(別タブ)。

図の○を一つ選び、横軸で音の高さ、縦軸で聞こえ始めるレベルを読みます。たとえば500 Hzは30 dB HL、2000 Hzは60 dB HLです。この例では、2000 Hzの音の方が聞こえるまでに大きな音を必要とします。右へ行くほど「高い音」、下へ行くほど「聞こえるまでに大きな音が必要」と分けて考えましょう。

「グラフの下にあるから小さい音」と考えないことがポイントです。また、音が聞こえることと、言葉を聞き分けられることは同じではありません。言葉の聞き取りを調べる語音(ごおん)聴力検査とは区別します。

参考:日本聴覚医学会「オージオグラム」/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「聴覚管理の実際」

補聴器と人工内耳の違い

補聴器は、音を増幅・調整して聞こえを補います。人工内耳(じんこうないじ)は、音を電気信号に変え、蝸牛に入れた電極から聴神経を刺激する機器です。体内に機器を入れる手術が必要になります。

どちらも、使えば全員が同じように聞こえるわけではありません。人工内耳も機器の調整や聞き取りの練習が必要で、聞こえ方には個人差があります。

参考:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「人工内耳」

身体障害者手帳の等級と区別する

聴覚障害の身体障害者手帳には、2・3・4・6級があります。聴力レベルによる主な基準は、両耳それぞれ100 dB以上が2級、90 dB以上が3級、80 dB以上が4級、70 dB以上が6級です。

6級には「片耳90 dB以上、もう片耳50 dB以上」という基準もあり、4級には「両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50%以下」という基準もあります。語音明瞭度(ごおんめいりょうど)は、言葉を正しく聞き取れた割合です。

医学的な難聴の程度、身体障害者手帳の等級、障害年金の等級は別のものです。ここでの数字は手帳の基準として整理しましょう。認定は所定の検査・診断に基づきます。

参考:厚生労働省「身体障害者福祉法施行規則」別表第5号(制度の確認日:2026年9月28日)

8問で復習しよう

すべての番号を一度に答える必要はありません。問題で指定された番号や役割だけを考え、答えが浮かんだら「答えと解説を見る」を開いてください。

復習用の耳の図。部位の名称を①から⑧の番号で表示
画像をタップすると拡大できます(別タブ)。

復習 1 / 8

①・③・⑥の組合せはどれ?

A:① 外耳道/③ 鼓膜/⑥ 前庭・半規管

B:① 耳介/③ 鼓膜/⑥ 前庭・半規管

C:① 耳介/③ 耳小骨/⑥ 前庭・半規管

D:① 耳介/③ 鼓膜/⑥ 耳管

答えと解説を見る

正解はB:① 耳介/③ 鼓膜/⑥ 前庭・半規管

①は音を集める耳介、③は音を受けて振動する鼓膜、⑥は平衡感覚に関わる前庭・半規管です。

復習 2 / 8

振動を電気信号に変えるのは?

A:④ 耳小骨

B:⑤ 耳管

C:⑦ 蝸牛

D:⑧ 聴神経

答えと解説を見る

正解はC:⑦ 蝸牛

蝸牛の有毛細胞が振動を電気信号に変えます。耳小骨は振動を伝え、耳管は気圧を調整し、聴神経は信号を脳へ伝えます。

復習 3 / 8

②・③・⑤の組合せはどれ?

A:② 耳介/③ 鼓膜/⑤ 耳管

B:② 外耳道/③ 耳小骨/⑤ 耳管

C:② 外耳道/③ 鼓膜/⑤ 半規管

D:② 外耳道/③ 鼓膜/⑤ 耳管

答えと解説を見る

正解はD:② 外耳道/③ 鼓膜/⑤ 耳管

②は音の通り道である外耳道、③は振動する鼓膜、⑤は鼻の奥とつながる耳管です。耳管と半規管を取り違えないようにしましょう。

復習 4 / 8

鼓膜の次に振動が伝わるのは?

A:⑦ 蝸牛

B:④ 耳小骨

C:⑤ 耳管

D:⑧ 聴神経

答えと解説を見る

正解はB:④ 耳小骨

鼓膜 → 耳小骨 → 蝸牛 → 聴神経 → 脳の順番です。蝸牛で振動が電気信号に変わります。

復習 5 / 8

外耳・中耳に原因がある難聴はどれ?

A:伝音難聴

B:感音難聴

C:混合性難聴

D:中途失聴

答えと解説を見る

正解はA:伝音難聴

伝音難聴です。感音難聴は内耳や聴神経などに原因があり、混合性難聴は両方がある状態です。

復習 6 / 8

純音のオージオグラムの横軸と縦軸の組合せはどれ?

A:横:時間/縦:周波数

B:横:聴力レベル/縦:周波数

C:横:周波数/縦:聴力レベル

D:横:周波数/縦:言葉の正答率

答えと解説を見る

正解はC:横:周波数/縦:聴力レベル

横軸は周波数(Hz)、縦軸は聴力レベル(dB HL)です。語音の聞き取りを調べる検査と混同しないようにしましょう。

復習 7 / 8

同じ周波数で、聞こえ始めるレベルが30 dB HLの人と60 dB HLの人を比べた説明はどれ?

A:60 dB HLの人の方が小さな音を聞ける

B:30 dB HLの人の方が高い音だけを聞ける

C:二人の言葉の聞き取りは必ず同じになる

D:60 dB HLの人の方が、聞こえるために大きな音を必要とする

答えと解説を見る

正解はD:60 dB HLの人の方が、聞こえるために大きな音を必要とする

dB HLは周波数ではなく聴力レベルです。閾値の数字が大きいほど大きな音が必要です。この数字だけで言葉の聞き取りまで決めることはできません。

復習 8 / 8

補聴器と人工内耳の説明として適切なのはどれ?

A:どちらも同じしくみで音を大きくする

B:補聴器は音を増幅・調整し、人工内耳は電極から聴神経を刺激する

C:人工内耳は手術をせず耳に掛けるだけで使う

D:どちらも使い始めた日から全員が同じように聞こえる

答えと解説を見る

正解はB:補聴器は音を増幅・調整し、人工内耳は電極から聴神経を刺激する

補聴器は音を調整して届け、人工内耳は電気信号で聴神経を刺激します。しくみが違い、聞こえ方にも個人差があります。

最後に確認

  • 音の流れは、耳介 → 外耳道 → 鼓膜 → 耳小骨 → 蝸牛 → 聴神経 → 脳
  • 耳管は気圧の調整、前庭・半規管は平衡感覚に関わる
  • 蝸牛で振動が電気信号に変わり、聴神経が脳へ伝える
  • 伝音難聴と感音難聴は、原因となる場所で区別する
  • オージオグラムは横軸が周波数、縦軸が聴力レベル。下ほど大きな音を必要とする

位置と役割を覚えたら、ほかの分野も含む10問の確認テストで練習してみましょう。

過去問で出題形式を確かめる

復習を終えたら、過去問で実際の2級筆記試験の出題形式も確認できます。

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