対策講座③|コミュニケーションと聴覚障害者の暮らし【全国手話検定2級】

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対策講座③では、全国手話検定2級の筆記試験に向けて、コミュニケーションの方法と聴覚障害者の暮らしを学びます。過去問を参考に整理した学習事項から、名前と意味を取り違えやすい用語を中心に復習しましょう。

覚える軸は、「何を使って伝えるか」「どんな場面で役立つか」です。聞こえ方や普段使う言葉は人によって違います。方法の名前を覚えるとともに、本人が使いやすい方法を確かめることも大切にしましょう。

窓口で手話や筆談などの方法を選びながらやり取りする場面
窓口では、本人が使いやすい方法を確かめながらやり取りします。

この講座で覚えること

  • 手話・指文字・筆談・読話の違い
  • 手話通訳と要約筆記、盲ろう者のコミュニケーション
  • 補聴器や光・振動による通知、電話リレーサービス
  • 学校・仕事・スポーツで情報を伝える工夫
  • 聴覚障害者情報提供施設と、補助犬の役割

まずはコミュニケーション方法を整理

手話、指文字、筆談、読話を4コマで示すイラスト
左上:手話/右上:指文字を使う場面/左下:筆談/右下:読話。右上は場面のイメージです。画像をタップすると拡大できます(別タブ)。

手話と指文字

手話は、手の形・位置・動き・向きや、表情などを使う言語です。単なる身振りではなく、語彙(ごい)や文法があります。表情には気持ちだけでなく、文の意味を伝える働きもあります。

手話は世界共通ではなく、国や地域によって違います。日本の中にも地域による表現の違いがあります。

指文字(ゆびもじ)は、日本語の五十音などを手指の形で表す方法です。人名・地名や、相手と共通の手話表現が分からない言葉を、一文字ずつ伝えるときに使います。「手話単語」と「文字を表す指文字」を区別しましょう。

筆談(ひつだん)

文字を書いてやり取りします。紙とペン、筆談ボード、スマートフォンなどを使います。

要点を短く書き、日時や金額は数字で示しましょう。漢字や図も相手に合わせて使い、伝わったか確かめます。

たとえば「来週の水曜日の午後」より、「10月7日(水)14時」と書くと、予定を確認しやすくなります。

読話(どくわ)と口話(こうわ)

読話は、口の動きや表情などを手掛かりに話を理解することです。口話は、発声や読話などを使って意思を伝え合う方法として学びます。

口の形が似ていて区別しにくい言葉もあり、口元を見れば何でも分かるわけではありません。顔を見やすい位置で自然にはっきり話し、伝わらないときは言い換えや筆談も使います。耳元で大声を出すだけでは、口元が見えず、かえって伝わりにくい場合があります。

指文字は手指の形、読話は口の動き。 何を手掛かりにするかで整理しましょう。

会話をするときに大切なこと

聴覚障害がある人全員が手話を使うわけではありません。成長後に聞こえを失った中途失聴者(ちゅうとしっちょうしゃ)など、それまでの経験によって使いやすい方法は異なります。

  • 最初に気付いてもらう:相手の視野に入り、軽く手を振るなどしてから話し始める。
  • 本人に方法を確認する:手話・筆談・口の動きなど、希望する方法を尋ねる。
  • 短く区切って伝える:身振り・指さし・表情や図も使い、伝わらなければ方法を変える。
  • 本人と話す:通訳者や家族が同席していても、説明や質問は本人に向ける。
  • 大切な内容を確かめる:うなずきだけで判断せず、日時・金額・場所などを一緒に確認する。

試験では、「いつも同じ方法でよい」「全員が手話を使う」といった決め付けに注意しましょう。相手からの反応を受けて伝え方を調整することも大切です。この反応をフィードバックといいます。

情報保障と、通訳・要約筆記

情報保障(じょうほうほしょう)は、必要な情報を得て、自分からも伝えられるようにすることです。会議や授業の内容を後で渡すだけでは、その場で質問したり意見を述べたりする機会を逃してしまいます。

会議で手話通訳と要約筆記を利用し、その場で内容を確認する様子
左:手話通訳で伝える場面/右:話の要点を文字にして伝える要約筆記の場面。

手話通訳

  • 聞き取り通訳:音声で話された内容を、手話で伝える。
  • 読み取り通訳:手話で表された内容を、音声で伝える。

「何を受け取って訳すか」で覚えましょう。読話は口の動きを読むこと、読み取り通訳は手話を受け取って訳すことです。通訳者が本人に代わって意見や判断を決めるわけではありません。

要約筆記(ようやくひっき)

話された内容の要点を、その場で文字にして伝える支援です。手書きやパソコンを使います。手話を使わない難聴者・中途失聴者などにとっても、話の内容を知る手段になります。

筆談は文字で会話する方法、要約筆記は音声の内容を文字で届ける支援。 どちらも文字を使いますが、役割が異なります。

盲ろう者のコミュニケーション

盲ろう者(もうろうしゃ)は、見えにくさ・聞こえにくさの両方がある人です。全く見えず、全く聞こえない人だけを指す言葉ではありません。見え方・聞こえ方や、これまで使ってきた言葉によって方法を選びます。

相手の手に触れて手話を読み取る場面と、手のひらに文字を書いて伝える場面
左:触手話のイメージ/右:手のひら書きのイメージ。
  • 触手話(しょくしゅわ):相手の手に触れて、手話の形や動きを読み取る。
  • 指点字(ゆびてんじ):両手の人差し指・中指・薬指の6本を点字の6点に対応させ、指をたたいて伝える。
  • 手のひら書き:手のひらに文字を書いて伝える。

触手話は手話、指点字は点字を基にした方法です。「触れる」という共通点だけで混同しないようにしましょう。

暮らしを支える機器とサービス

光で知らせる呼び鈴、振動で知らせるスマートフォン、会場の磁気ループと補聴器
左:光による通知/中央:振動による通知/右:マイクの音声を会場のループ線を通じて、対応する補聴器へ届ける模式図。

補聴器と補聴援助

補聴器(ほちょうき)は、聞こえを補う機器です。装着すれば誰でも言葉をすべて聞き取れる、というものではありません。静かな環境、見やすい口元、文字による確認なども役立ちます。

テキストの巻末問題では、補聴器が補装具(ほそうぐ)に当たることも学習事項になっています。ファクスや光による通知機器とは、役割や制度上の扱いが異なります。

磁気ループ(じきループ/ヒアリングループ)は、マイクなどの音声を磁気によって対応する補聴器などへ届ける設備です。光で知らせる機器とは区別しましょう。

音の合図を光や振動に

呼び鈴、目覚まし、警報などを、光や振動で知らせる機器があります。店の呼び出しも、番号表示や振動する端末を使えば、音だけに頼らず気付けます。

災害時には、放送に加えて掲示・文字・手話などで情報を伝えます。掲示するだけで終わらず、変更があれば更新し、本人に情報が届いているか確認することも必要です。

電話リレーサービス

利用者と通訳オペレータ、通話相手を双方向の矢印でつないだ電話リレーサービスのイメージ
利用者と通話相手の間に通訳オペレータが入り、双方向のやり取りをつなぎます。

手話や文字と音声を、通訳オペレータがつなぐサービスです。聞こえない人・聞こえにくい人や発話に困難がある人と、音声で電話を使う人がやり取りできます。手話だけでなく文字も使える点を覚えましょう。

通常は、きこえない側の利用者の事前登録が必要です。24時間365日、電話をかけることも、音声側からの電話を受けることもできます。

自動音声認識で会話を文字にするアプリもありますが、人名や数字などを誤って変換することがあります。重要な内容は、その都度確かめます。

手話リンク(2025年4月開始)は、導入した法人・自治体のサイトの専用ボタンから、手話通訳オペレータを介して音声電話の窓口に問い合わせるサービスです。問い合わせるきこえない人の電話リレーサービス利用登録は不要です。

テキストで用語を確認する

手話・筆談・要約筆記の違いや、聴覚障害者の暮らしを読み直したい方には、筆記試験対策テキストも役立ちます。

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地域の相談先と補助犬

聴覚障害者情報提供施設は、相談・情報提供・手話通訳者などの派遣を行う地域の拠点です。補助犬は日常生活を支える犬で、聴導犬は音を知らせ、盲導犬は歩行を助け、介助犬は物を拾うなどの動作を助けます。

聴覚障害者情報提供施設

聴覚障害者情報提供施設(ちょうかくしょうがいしゃじょうほうていきょうしせつ)は、情報や意思疎通の支援を行う地域の拠点です。字幕・手話付き映像の制作や貸出し、相談、手話通訳者・要約筆記者の派遣などを行います。実施する事業や申込み方法は施設によって異なります。

「聞こえを検査する医療機関」や「補聴器だけを販売する店」とは役割が違います。情報・相談・コミュニケーションの支援を結び付けて覚えましょう。

たとえば、地域で手話通訳を利用したいときや、字幕・手話付きの情報を探したいときに相談できる場所です。試験では施設名だけでなく、何を支える施設かを選べるようにしましょう。「診察する」「補聴器を販売する」はこの施設の主な役割ではありません。

参考:厚生労働省「障害者の社会参加の推進」

聴導犬・盲導犬・介助犬

身体障害者補助犬(しんたいしょうがいしゃほじょけん)には、次の3種類があります。

  • 聴導犬(ちょうどうけん):呼び鈴・目覚ましなど、生活に必要な音を知らせ、音のする場所へ導く。
  • 盲導犬(もうどうけん):視覚障害のある人の歩行を支え、段差や曲がり角などを知らせる。
  • 介助犬(かいじょけん):肢体不自由のある人を支え、物を拾う・持ってくるなどの動作を助ける。
上段では聴導犬が呼び鈴を知らせ、左下では盲導犬が歩行を支え、右下では介助犬が鍵を届けるイメージ
上:聴導犬は音を知らせる/左下:盲導犬は歩行を支える/右下:介助犬は日常の動作を助ける。

聴導犬は、音に気付くことを助ける犬です。放送や会話の内容を手話・文字に訳すわけではありません。犬を連れている場合も、必要な説明は本人に伝わる方法で行います。

覚える軸は、聴導犬=音、盲導犬=歩行、介助犬=日常の動作です。たとえば玄関の呼び鈴を知らせるのは聴導犬の仕事ですが、来客が話した内容まで伝えるわけではありません。犬の役割と、人が行う情報保障を分けて考えましょう。

参考:厚生労働省「身体障害者補助犬」

学校・仕事・スポーツの用語

授業で質問する場面、職場の会議、光の合図がある陸上競技のスタート
左:学校/中央:職場/右:スポーツの場面。参加しやすいよう、情報の伝え方や合図を工夫します。

学校と職場での工夫

授業では、通訳を見ながら板書を書き写すのが難しいことがあります。資料を先に配り、説明を見る時間と書く時間を分ける工夫が役立ちます。会議では、発言者を明確にして一人ずつ話すと内容を追いやすくなります。

仕事内容だけでなく、急な予定変更や休憩中の話題なども共有することが、参加しやすい環境につながります。

名前と役割を結び付けよう

  • 筑波技術大学(つくばぎじゅつだいがく):聴覚障害者・視覚障害者のための高等教育を行う国立大学。
  • 目で聴くテレビ:手話と字幕で情報を伝える放送サービス。
  • 手話協力員:ハローワークで手話による職業相談などを支える。利用日時などは窓口で確認する。
  • デフリンピック:ろう者の国際的なスポーツ大会。競技の合図に光などを用いる。
  • アビリンピック:障害者の職業技能を競う大会。

デフリンピックはスポーツ、アビリンピックは職業技能。 似た名称は、何を行う大会なのかと結び付けて覚えましょう。

11問で復習しよう

方法の名前、役割、場面に合う対応を4択で確認します。各問の答えを考えてから「答えと解説を見る」を開きましょう。

復習 1 / 11

人名を一文字ずつ手指で表す方法はどれ?

A:読話

B:指文字

C:要約筆記

D:指点字

答えと解説を見る

正解はB:指文字

指文字は日本語の五十音などを手指の形で表します。読話は口の動きなどを読み取る方法、指点字は指に点字を伝える方法です。

復習 2 / 11

筆談の工夫として適切なのはどれ?

A:すべてひらがなで続けて書く

B:説明を一つの長い文にまとめる

C:書き終えたら理解の確認は省く

D:要点を短く区切り、必要に応じて図も使う

答えと解説を見る

正解はD:要点を短く区切り、必要に応じて図も使う

短い文や図で伝え、相手に内容が伝わったか確認します。漢字を避けることや、文字を書くだけで終えることが目的ではありません。

復習 3 / 11

話された内容を、その場で文字にして伝える支援はどれ?

A:要約筆記

B:読み取り通訳

C:触手話

D:読話

答えと解説を見る

正解はA:要約筆記

要約筆記は音声情報の要点を、その場で文字にして届けます。会議や講演を理解し、質問や発言に参加することにもつながります。

復習 4 / 11

手話を受け取り、音声で伝える通訳はどれ?

A:聞き取り通訳

B:要約筆記

C:読み取り通訳

D:読話

答えと解説を見る

正解はC:読み取り通訳

手話から音声へ伝えるのが読み取り通訳、音声から手話へ伝えるのが聞き取り通訳です。読話は口の動きなどから話を理解することです。

復習 5 / 11

相手の手に触れて手話を読み取る方法はどれ?

A:指点字

B:触手話

C:手のひら書き

D:指文字

答えと解説を見る

正解はB:触手話

触手話は、手話の形や動きを触覚で受け取ります。指点字は点字、手のひら書きは文字を用います。本人の見え方・聞こえ方や言語経験に合わせて選びます。

復習 6 / 11

マイクの音声を、対応する補聴器などへ磁気で届ける設備はどれ?

A:振動式目覚まし時計

B:電光掲示板

C:光で知らせる呼び鈴

D:磁気ループ

答えと解説を見る

正解はD:磁気ループ

磁気ループはヒアリングループとも呼ばれます。光や振動で合図を知らせる機器とは、伝える仕組みが異なります。

復習 7 / 11

電話リレーサービスの説明として正しいものはどれ?

A:手話や文字と音声を、通訳オペレータがつなぐ

B:会議の発言を、その場で文字にして伝える

C:音声を自動認識して、画面に字幕を表示する

D:マイクの音を磁気で補聴器などに届ける

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正解はA:手話や文字と音声を、通訳オペレータがつなぐ

手話または文字を使う人と、音声で電話を使う人の会話をつなぎます。Bは要約筆記、Cは音声認識、Dは磁気ループの説明です。

復習 8 / 11

デフリンピックとアビリンピックの組合せで正しいものはどれ?

A:デフリンピック:ろう者のスポーツ/アビリンピック:障害者のスポーツ

B:デフリンピック:障害者の職業技能/アビリンピック:ろう者のスポーツ

C:デフリンピック:ろう者のスポーツ/アビリンピック:障害者の職業技能

D:デフリンピック:ろう者の職業技能/アビリンピック:障害者の職業技能

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正解はC:デフリンピック:ろう者のスポーツ/アビリンピック:障害者の職業技能

デフリンピックはろう者のスポーツ大会、アビリンピックは障害者の職業技能を競う大会です。名称と目的を組にして覚えましょう。

復習 9 / 11

字幕・手話付き映像の貸出しや、相談・意思疎通支援などを行う地域の拠点はどれ?

A:ハローワーク

B:特別支援学校

C:聴覚障害者情報提供施設

D:身体障害者更生相談所

答えと解説を見る

正解はC:聴覚障害者情報提供施設

聴覚障害者情報提供施設です。情報・相談・コミュニケーションを支える拠点で、具体的な事業は施設によって異なります。

復習 10 / 11

聴導犬の役割として適切なのはどれ?

A:呼び鈴などの音を知らせ、音のする場所へ導く

B:音声放送を文章にして伝える

C:視覚障害のある人に交差点の曲がり角を知らせる

D:手話を音声に訳して電話相手に伝える

答えと解説を見る

正解はA:呼び鈴などの音を知らせ、音のする場所へ導く

聴導犬は生活に必要な音を知らせます。盲導犬の歩行支援や、人による通訳とは役割が違います。

復習 11 / 11

自治体のサイトにある「手話リンク」で問い合わせるとき、正しい説明はどれ?

A:事前に電話リレーサービスへ登録し、専用番号を取得する

B:窓口の職員が手話を使える場合だけ利用できる

C:本人の電話リレーサービス利用登録は不要で、通訳オペレータが窓口につなぐ

D:手話動画を送り、後日メールで回答を受け取る

答えと解説を見る

正解はC:本人の電話リレーサービス利用登録は不要で、通訳オペレータが窓口につなぐ

手話リンクは、導入した法人・自治体の公式サイトの専用ボタンから、手話通訳オペレータを介して音声電話の窓口へ問い合わせるサービスです。問い合わせるきこえない人の電話リレーサービス利用登録は不要です。

最後に確認

  • 指文字は文字を手指で表し、読話は口の動きなどを読み取る。
  • 筆談は文字でのやり取り、要約筆記は音声情報をその場で文字にする支援。
  • 触手話は手話、指点字は点字を基にした方法。
  • 補聴器・磁気ループ・光や振動の通知は、それぞれ役割が異なる。
  • 聴導犬は音を知らせる。会話の内容を通訳する役割とは異なる。
  • 聞こえ方や言語経験に合わせ、本人の希望する方法を確かめる。

用語の意味を説明できるようになったら、ほかの分野も含む2級の確認テストに進みましょう。